凡ならばかもかも為むを恐みと振り痛き袖を忍びてあるかも
冬十二月、大宰帥大伴卿上京時、娘子作謌二首
凡有者 左毛右毛将為乎 恐跡 振痛袖乎 忍而有香聞
冬十二月、太宰帥大伴卿の京に上りし時に、娘子の作れる歌二首
凡ならばかもかも為むを恐みと振り痛き袖を忍びてあるかも
語釈
- をとめ【娘子】:児島という名の筑紫の遊行女婦。
- おほ【凡】:平凡だ。普通だ。
- かもかも:どのようにも。とにもかくにも。
- そでふる【袖振る】:(別れを惜しむ表現として)袖を振る。
- しのぶ【忍ぶ】:こらえる。我慢する。
冬十二月、太宰帥大伴卿が京へ上った時に、娘子が作った歌二首。
平凡なご身分の人であったならばどのようにも致しましょうものを、恐れ多く思いますので、痛く別れを惜しんで振りたい袖をこらえているのでございますよ。
児島
万葉歌碑の所在地
場所:水城館
住所:〒818-0132 福岡県太宰府市国分2丁目17