銀も金も玉も何せむに勝れる宝子に及かめやも
『万葉集』の第5巻に収録されている803番歌は、山上憶良のが詠んだ「子らを思ふ歌」の1首です。「どんな宝よりも子どもが大切」という少子化の現代にこそ響かせたい名歌。なのですが万葉歌碑は草に埋もれてしまっていて、探し出すのに30分ほどかかるありさまでした(汗)。『万葉集』第5巻、803番歌の原文・読み下し文・現代語訳と、万葉歌碑の場所を紹介します♪
『万葉集』第5巻 803番歌の現代語訳
銀母金母玉母奈尒世武尒麻佐礼留多可良古尒斯迦米夜母
銀も金も玉も何せむに勝れる宝子に及かめやも
- なにせむに【何せむに】:どうして⋯か、いや⋯ない。
- しかめやも【及かめやも】:およぼうか、いやおよびはしない。
銀貨も金貨も宝石もどうして勝れる宝であろうか、子に及びはしない。
まことにその通りかも♪
『万葉集』第5巻 803番歌の万葉歌碑
銀も金も玉も何せむに勝れる宝子に及かめやも
この歌が刻まれた万葉歌碑は、福岡県飯塚市の遠賀川河川敷中之島内にあります。「芳雄橋」の中央に中之島へと下りる階段があり、上流側が憶良口です。しかし、私が訪問した時は歌碑がまったく見当たらず⋯⋯。30分ほどうろうろして、「まさかここに?」と草むらをかき分けて入るとありました。
万葉歌碑なんて誰も興味ないのかなと悲しい気持ちになりましたが、かく言う私も若い頃は「万葉歌碑を見に行こう」なんて思ったことがないのでこんなもんですかね。Googleマップにも登録されていなかったので、私が勝手に登録しておきました。
芳雄橋をはさんで遠賀川の下流側には、大伴旅人の万葉歌碑があります。こちらも少し草に覆われてはいましたが、すぐに見つかりました。私は憶良口から下りたのに、うろうろ探しているうちに旅人口側へと回り、先にこちらの歌碑を見つけた次第でした。今は草刈りがされていることを祈ります。また草に埋もれてしまわないように、皆さまもぜひ訪ねてみてください♪