沖つ鳥鴨とふ舟は也良の崎廻みて漕ぎ来と聞こえ来ぬかも
『万葉集』の第16巻3867番歌は、「筑前国の志賀の白水郎の歌十首(第16巻3860 ~ 3669番歌)」のうちの一首です。海で遭難した漁師の妻子らが作ったとも、山上憶良が作ったともいわれています。第16巻3867番歌の原文・現代語訳・作者・万葉歌碑を紹介します。
筑前國志賀白水郎歌十首
筑前国の志賀の白水郎の歌十首
語釈
- つくしのみちのくちのくに【筑前国】:現在の福岡県中部から北西にかけての地。
- しか【志賀】:現在の福岡市東区志賀島。
奥鳥 鴨云舟者 也良乃埼 多未弖榜来跡 所聞許奴可聞
沖つ鳥鴨とふ舟は也良の崎廻みて漕ぎ来と聞こえ来ぬかも
語釈
- おきつとり【沖つ鳥】:沖の鳥。鴨の形容。
- かも【鴨】:ここでは舟の名称。
- やらのさき【也良の崎】:也良岬。博多湾内能古島の北端。
- たむ【廻む・回む】:ぐるっと回る。めぐる。
沖の鳥よ、鴨という名の舟は也良の崎を回って漕いで帰って来ると、知らせが聞こえて来ないかな。
作者未詳(白水郎の妻子か、山上憶良か)
万葉歌碑の所在地
場所:志賀島棚ヶ浜
住所:〒811-0323 福岡県福岡市東区志賀島1735-123