万葉集「巻6-965番歌」の原文・現代語訳・作者・万葉歌碑

  凡ならばかもかも為むを恐みと振り痛き袖を忍びてあるかも

原文

 冬十二月、大宰帥大伴卿上京時、娘子作謌二首

  凡有者 左毛右毛将為乎 恐跡 振痛袖乎 忍而有香聞

読み下し文

 冬十二月、太宰帥だざいのそち大伴卿おほとものまへつきみみやこのぼりし時に、娘子をとめの作れる歌二首

  おほならばかもかもむをかしこみとそでしのびてあるかも

語釈
  • をとめ【娘子】:じまという名の筑紫つくし遊行女婦うかれめ
  • おほ【凡】:平凡だ。普通だ。
  • かもかも:どのようにも。とにもかくにも。
  • そでふる【袖振る】:(別れを惜しむ表現として)袖を振る。
  • しのぶ【忍ぶ】:こらえる。我慢する。

現代語訳

 冬十二月、太宰帥だざいのそち大伴卿おほとものまへつきみみやこのぼった時に、娘子をとめが作った歌二首。

  平凡なご身分の人であったならばどのようにも致しましょうものを、恐れ多く思いますので、痛く別れを惜しんで振りたい袖をこらえているのでございますよ。

作者

 児島

万葉歌碑

万葉集「巻6-965番歌」の万葉歌碑 / 2024年10月4日訪問
万葉歌碑の所在地
福岡県太宰府市「水城館」 / 2024年10月4日訪問

場所:水城館

住所:〒818-0132 福岡県太宰府市国分2丁目17