万葉集「巻6-961番歌」の原文・現代語訳・作者・万葉歌碑

  湯原に鳴く蘆鶴は吾がごとく妹に恋ふれか時わかず鳴く

原文

 帥大伴卿宿次田温泉、聞鶴喧作謌一首

  湯原尒 鳴蘆多頭者 如吾 妹尒戀哉 時不定鳴

読み下し文

 そち大伴卿おほとものまへつきみすき温泉宿やどりて、たづを聞きて作れる歌一首

  湯原ゆのはらに鳴く蘆鶴あしたづがごとくいもふれか時わかず鳴く

語釈
  • すきたのゆ【次田の温泉】:現在の福岡県筑紫野市にある二日市温泉。蘆に瘡ができた大伴旅人が湯治に来ていた。
  • やどる【宿る】:自分の家を離れて泊まる。宿泊する。
  • あしたづ【蘆鶴】:蘆が生い茂る原にいる鶴。
  • いも【妹】:妻。大宰府赴任直後に妻の大伴郎女を亡くした。
  • ときわかず【時分かず】:いつでも。

現代語訳

 大宰帥大伴卿が次田の温泉に宿を取って、鶴が鳴く声を聞いて作った歌一首

  次田の湯の原に鳴く蘆鶴は、私のように妻を恋しく思っているのだろうか。時をわきまえずに鳴いているよ。

作者

 大伴旅人

万葉歌碑

万葉集「巻6-961番歌」の万葉歌碑 / 2024年10月4日訪問
万葉歌碑の所在地
太宰府歴史スポーツ公園 / 2024年10月4日訪問

場所:太宰府歴史スポーツ公園

住所:〒818-0138 福岡県太宰府市吉松4丁目1-1