湯原に鳴く蘆鶴は吾がごとく妹に恋ふれか時わかず鳴く
帥大伴卿宿次田温泉、聞鶴喧作謌一首
湯原尒 鳴蘆多頭者 如吾 妹尒戀哉 時不定鳴
帥大伴卿の次田の温泉に宿りて、鶴が音を聞きて作れる歌一首
湯原に鳴く蘆鶴は吾がごとく妹に恋ふれか時わかず鳴く
語釈
- すきたのゆ【次田の温泉】:現在の福岡県筑紫野市にある二日市温泉。蘆に瘡ができた大伴旅人が湯治に来ていた。
- やどる【宿る】:自分の家を離れて泊まる。宿泊する。
- あしたづ【蘆鶴】:蘆が生い茂る原にいる鶴。
- いも【妹】:妻。大宰府赴任直後に妻の大伴郎女を亡くした。
- ときわかず【時分かず】:いつでも。
大宰帥大伴卿が次田の温泉に宿を取って、鶴が鳴く声を聞いて作った歌一首
次田の湯の原に鳴く蘆鶴は、私のように妻を恋しく思っているのだろうか。時をわきまえずに鳴いているよ。
大伴旅人
万葉歌碑の所在地
場所:太宰府歴史スポーツ公園
住所:〒818-0138 福岡県太宰府市吉松4丁目1-1