陽性植物と陰性植物の違いをわかりやすく解説

植物は日光を利用した「光合成」によって、生育に必要な「デンプン(炭水化物)」を作り出しています。

植物の種類によって、光合成に必要な「日光の強さ」が異なり、強い光線を必要とする植物を「陽性植物」、弱い光線でも生育できる植物を「陰性植物」と言います。

陽性植物は直射日光が当たる場所でもよく育ちますが、日光が弱い半日陰では、葉が小さくなったり、花や蕾が落ちてしまうことも。

一方で、陰性植物は半日陰を好み、強い日差しを浴びると葉焼けしたり、枯れてしまったりすることもあります。

この記事では、陽性植物と陰性植物について、わかりやすく解説します。

「性」か「生」か、どっちが正解?

まずは言葉の整理から。

Yahoo!知恵袋に、このようなQ&Aがありました。

陽性植物ですか?それとも陽生植物ですか?

教科書とノートは生まれるでかいてあるのですが、 昨日受けた生物のテストと携帯の変換では陽性と出てきました。

どっちなんでしょうか。

引用:Yahoo!知恵袋

こちらでは「陽生植物が正解です」との回答がベストアンサーとなっていました。

また、筑波大学日本植物生理学会のホームページでも「陽生植物」、「陰生植物」と記載されており、「生」が正しいように思います。

しかし、私が受講した「薬草ガーデン講座」のテキストの記載は、「陽性植物」と「陰性植物」。

筑波大学のホームページでは「陰生植物」の中に、「絶対陰性植物」、「条件的陰性植物」という分類があり、「生」と「性」の両方が使われています。

私の考えでは、光合成に必要な日光の強さが植物によって異なるというのは「性質」の違いであり、それが「生育」に影響を与えるので、どちらも正解かと思います。

Googleの月間検索回数を調べてみると、「陽性植物」が480回であるのに対して、「陽生植物」は390回。

「陰性植物」の月間検索回数は590回で、「陰生植物」は260回でした。(2023年10月27日時点)

そのため、当記事では「性」の方が一般的と考え、「陽性植物」、「陰性植物」と記載させていただきます。

ちなみに、陽性植物の英語は「sun plant」、陰性植物の英語は「shade plant」。

Sun(太陽)とShade(影)、なんてわかりやすいんでしょう!

陽性植物とは

陽性植物とは、強い光で光合成の効率がもっとも良くなる植物のことを言います。

アーティチョークやアロエ、ローズマリーなど、葉が厚めでしっかりしており、強い日差しを浴びても葉焼けの被害が少ない植物です。

逆に光が弱いと、葉が小さくなったり、葉の数が少なくなったりと、生育不良を起こします。

茎だけが長く伸びる「徒長(とちょう)」を起こしたり、花や蕾が落ちてしまったりすることも。

そのため、陽性植物は日当たりの良い場所で育てるのが最適です。

陽性植物の例

アーティチョーク、アカマツ、アロエ、イネ、エビスグサ、カボチャ、キャベツ、キンセンカ、ダイコン、タンポポ、ツルドクダミ、ディル、トウモロコシ、ハクサイ、ハトムギ、ヒソップ、フィーバーフュー、フェンネル、ヘンルーダ、マーシュマロウ、ラベンダー、ローズマリー

陰性植物とは

陰性植物とは、比較的弱い光で光合成の効率がもっとも良くなる植物です。

大きく分けて、強い光が苦手で半日陰を好むタイプと、日光は好きだけど半日陰の方が好き、という二つのタイプがあります。

強い光が苦手なタイプは、森林の中の木漏れ日が差すような場所でよく育ちます。

日光が好きなタイプは「半陰性植物」とも言われ、日光がほしいけど陽性植物ほどは要らないという植物です。

レタスやシソなど、陰性植物は葉の薄いものが多く、真夏の直射日光のような強い日差しを浴びると葉焼けを起こしてしまいます。

逆に光が弱すぎても光合成ができなくなってしまうため、半日陰か、1日の半分だけ日が当たるような場所で育てるのが最適です。

陰性植物の例

アンジェリカ、アマチャヅル、アミガサユリ、イカリソウ、オウレン、オタネニンジン、カキドオシ、カンアオイ、サトイモ、シソ、シラン、ツリガネニンジン、トウキ、ナルコユリ、ネギ、ホウレンソウ、ミョウガ、ミント、ユキノシタ、レタス、レディースマントル