空芯菜の花が咲いたので自家採種できるか待ってみた結果

家庭菜園で育てている空芯菜の花が咲きました!
空芯菜の花を見るのが初めてだった私は、きれいな白い花にくぎ付け。
季節はすっかり秋になっていましたが、まだまだ生育旺盛な空芯菜は枯れる気配がありません。
「もしかしたら自家採種できるかも?」と淡い期待を抱きながら、経過を観察してみることにしました。

空芯菜の花が咲く条件

植物には「日長反応(にっちょうはんのう)」という性質があり、日の長さの変化を感知して花を咲かせる時期をコントロールしています。
日が短くなる時期に開花の準備が始まる植物を「短日植物」、日が長くなる時期に開花の準備が始まる植物を「長日植物」といい、空芯菜は「短日植物」です。

長日植物・短日植物・中性植物の違いをわかりやすく解説

日が短くなる時期というのは、夏至から冬至にかけての期間。
短日植物が花芽を作り始めるのは夏至を過ぎた後で、夏至よりも前に花が咲くことはありません。
小学生の観察日記の定番ともいえるアサガオは、ちょうど夏休みに入る頃から花が咲き始めますよね。
これはアサガオが短日植物であり、夏至を過ぎてから花芽を作り始めるためです。

空芯菜の花が咲き始めるのは、アサガオよりももっと後。
場所にもよりますが、日本では秋分の日を過ぎた頃から花芽が形成されることが多いようです。
福岡県宗像市にある我が家では、10月4日に蕾ができ、10月17日に開花しました。

空芯菜の花が咲く条件として、もう一つ欠かせないのが気温です。
夏野菜である空芯菜は寒さに弱く、気温が下がると枯れてしまいます。
生育適温は20℃以上とされており、地域やその年の気候によっては、花が咲く前に枯れてしまうのです。
福岡では10月でも20℃を超える日は珍しくありませんが、秋になるとグッと冷え込む地域では難しいかもしれません。

花が咲いた空芯菜は味が落ちる?

葉物野菜は全般的に、花が咲くと味が落ちてしまいますよね。
空芯菜も例外ではなく、花が咲き始めると茎が硬くなっていきます。
ただ、食べられないほどの硬さではありませんので、我が家では花が咲いた後も普通に食べていました。

空芯菜は炒めて食べることが多いとは思いますが、実は茹でても美味しいです。
茹でると少し柔らかくなるため、硬くなった空芯菜を鍋やおひたしにするといいですよ。
旬の時期に比べれば味が落ちるというぐらいで、炒めても全然美味しく食べられます。
花が咲いたからと言って刈り取らず、枯れるまで放っておいてみてはいかがでしょうか。

ちなみに、空芯菜の花に毒はありません。
収穫した茎に花や蕾が付いていても大丈夫です。
花自体は別に美味しいものではないので、わざわざ花だけを摘んで食べる必要はないと思います。

空芯菜は自家採種できるのか

一般的には、日本で空芯菜の種を採ることは難しいといわれています。
生育適温が20℃以上である空芯菜は、日本の秋冬を乗り越えられないからです。
でも、できることなら自家採種したいところ。
普通に美味しく食べられるというのもありましたが、空芯菜が枯れるまで観察してみることにしました。

10月4日、空芯菜の蕾を発見

初めて空芯菜の蕾を見つけたのは、10月4日のことでした。
うっすら紫色がかかった蕾でしたので、この時は「青っぽい花が咲くのかな?」と楽しみにしておりました。

10月17日、空芯菜の花を発見

空芯菜の花が咲いているのを発見したのは、蕾を見つけてから約2週間後、10月17日でした。
なんと真っ白! 少しも青みがかってはいません。
ちょっと虫に食べられてしまったようですが、とても綺麗な花です。

10月18日にも空芯菜の花を発見

翌日の10月18日にも空芯菜の花を見つけました。
こちらは状態もきれいで、マリーゴールドとのコントラストも素晴らしい♪
これだから家庭菜園はやめられません。

空芯菜の花の寿命は1日

しぼんでしまった空芯菜の花 / 2023年10月19日撮影

その翌日の10月19日に同じ花を見に行ってみると、この通りしぼんでいました。
空芯菜はアサガオと同じ、ヒルガオ科サツマイモ属の植物。
花の寿命もアサガオと同じで、1日しか持たないようです。

しかし、花が落ちたということは、これから種ができるということ!
アサガオは確か、夏休み中に種も採れてたような気がする⋯⋯!
ってことは2週間ぐらい???
まだまだ外は暖かいし、自家採種はできる!

11月も生育旺盛な空芯菜

11月に入っても空芯菜の勢いは衰えず、花も次々に咲いていました。
しかし、種がなる気配はまったくありませんでした。
12月頭まで空芯菜の株は残っていたのですが、最後まで種はできず、とうとう枯れてしまいました。

開花から2ヶ月近く生き残っていたのに、種ができるどころか実がなりませんでした。
まいたのはこちらの種なんですが、F1種子でもないですよね?

エンツァイの種(サカタのタネ)


なんとか花を咲かすことはできても、実をつけるには気温が足りなかったのでしょうか。
やはり福岡では、空芯菜の自家採種は難しいのかもしれません。

ちなみに、アサガオの種が開花後2週間ぐらいできるというのは、私の完全な勘違いでした。
アサガオの種ができるまでは1~2ヶ月かかり、採取時期は9~10月頃になるとのこと。
空芯菜の種も同じように1~2ヶ月かかるとすれば、少なくとも12月中旬までは株を持たせないといけません。
そう考えると、日本で空芯菜の自家採種ができるのは沖縄ぐらいでしょうか。

空芯菜の花が咲く時期を早める方法

結局、空芯菜の自家採種はできませんでしたが、調べてみると裏技はあるようです。

空芯菜は「短日植物」ですので、日が短くなれば花が咲きます。
その性質を利用して、空芯菜に日が当たる時間を強制的に短くすれば、花を早く咲かせられるというわけです。
具体的には、日の入りの時間を待たずに、夕方のうちから空芯菜の株をダンボールなどで覆い隠し、夜と同じ環境にします。
こうして人工的に日を短くすることで、花を8月頃に開花させることができれば、寒くなる前に種ができる可能性があります。
ちょっと試してみたい気持ちはありますが、なんだか空芯菜がかわいそうですよね。

空芯菜は本来、多年草です。
熱帯地域では枯れることなく増殖し、なんとアメリカ南部では栽培が禁止されているほど!
つまり、暖かくしておけば枯れませんので、冬は室内やビニール温室で管理しておけば、種を採れるかもしれません。
水耕栽培でも育てられそうなので、来年余裕があれば挑戦してみたいと思います。