イヌタデ(犬蓼)の花言葉|赤まんまの由来と俳句・和歌の紹介

イヌタデ(犬蓼)の花言葉は、「あなたのお役に立ちたい」です。

「お役に立ちたい」という願望形であるのは、役に立つと認識されていないから。

イヌタデという名前には、「役に立たないタデ」という意味が込められているんです。

でも実際には「赤まんま」という名前で親しまれ、秋に咲くピンクの花はとても綺麗。

普通に食べることもできますし、役に立たないなんてことはまったくありません。

この記事では、イヌタデの名前の由来と花言葉について解説します。

イヌタデ(犬蓼)の名前の由来

イヌタデ(犬蓼)の「イヌ(犬)」には、「役に立たない」という意味合いがあります。

今でこそ大切に飼われる犬ですが、昔は無駄死にすることを「犬死に」と言ったり、非道徳的な人を「犬畜生」と言ったり、犬をかなり下に見ていたんですね。

今でも「負け犬」という言葉がよく使われていますが、私はこの言葉を使う人を好きにはなれません。

「タデ(蓼)」と言えば、古くは「ヤナギタデ(柳蓼)」のことを指すのが一般的だったようです。

ヤナギタデには辛味があり、香辛野菜として古くから利用されてきました。

「蓼食う虫も好き好き」ということわざはヤナギタデのことで、「辛いタデを食べる虫がいるように、人の好みはさまざま」という意味で使われます。

一方で、イヌタデには辛味がなく、食用にもならない、ということから、「役に立たないタデ」を意味する「イヌタデ」という名前が付けられてしまいました。

鎌倉時代中期の歌人、「藤原為家(ふじわらのためいえ)」は、このような和歌を残しています。

からきかなかりもはやさぬいぬ蓼の穂になる程に引く人のなき

「かりもはやさぬ」は、「刈って生やさないように」という意味。

「イヌタデが穂になるほど伸びたけど、抜いてくれる人もいない」ということで、当時から雑草扱いされていたことがわかります。

イヌタデ(犬蓼)の花言葉

そんな不名誉な名前を付けられてしまったイヌタデ(犬蓼)の花言葉は、「あなたのお役に立ちたい」です。

いつ誰が言い始めた花言葉なのかはわかりませんでしたが、とても的を得た花言葉だと思います。

秋になると道端や草むらでよく見かける身近な草花でありながら、あまり気に留められることもないイヌタデ。

花は誰もが見たことがあると思いますが、それがイヌタデの花だと知っている人はあまりいないのではないでしょうか。

コスモスは誰もが知っているけど、イヌタデは草花好きにしかわからない、そんな植物だと思います。

食用にされることもなく、庭や畑では雑草扱いされてしまうこともありますが、「あなたのお役に立ちたい」と思いながら、謙虚に咲いているのかも知れません。

イヌタデ(犬蓼)は役に立つ!

イヌタデ(犬蓼)には、「赤まんま」という別称もあります。

赤い蕾と花が赤飯を連想させることから、「赤まんま」という名が付けられました。

子どもがままごと遊びで、赤飯に見立てて使う花としても親しまれてきたそうです。

また、「赤まま」、「赤のまま」、「犬蓼の花」は秋の季語であり、正岡子規や高浜虚子も俳句を詠んでいます。

  • 犬蓼の花くふ馬や茶の煙 (正岡子規)
  • 此辺の道はよく知り赤のまゝ (高浜虚子)

特に高浜虚子は、昭和10年(1935年)に東京日々新聞社(毎日新聞の前身)が企画した「新・秋の七草」で、アカマンマを選んでいます。

このように、食用にはならずとも、イヌタデは人々を楽しませてきた草花です。

道端でピンクの綺麗な花を咲かせているだけでも、十分役に立っていますよね。

イヌタデ(犬蓼)は食べられます!

「食べられないから役に立たない」とされてきたイヌタデ(犬蓼)ですが、実は食べられます。

辛味がないので香辛野菜にはなりませんが、その分クセがないので、普通に美味しく食べられるんです!

イヌタデの花はプチプチとした食感が美味しくて、ピンクの花は料理の見た目もよくしてくれます。

イヌタデを美味しく食べる方法を集めていますので、ぜひ食べてみてくださいね♪