我が苑に梅の花散るひさかたの天より雪の流れ来るかも
『万葉集』の第5巻に収録されている822番歌は、元号「令和」の由来になった「梅花の宴」で大伴旅人が詠んだ歌です。天平2(730)年1月13日、大宰帥(大宰府の長官)を務めていた大伴旅人邸に九州の有力者たちが集まり、お酒を酌み交わしながら32首の和歌が詠まれました。そのうちの1首、『万葉集』第5巻、822番歌の原文・読み下し文・現代語訳と、万葉歌碑の場所を紹介します♪
『万葉集』第5巻 822番歌の現代語訳
和何則能尒宇米能波奈知流比佐可多能阿米欲里由吉能那何列久流加母
我が苑に梅の花散るひさかたの天より雪の流れ来るかも
私の庭に梅の花が散っている。天より雪が流れてくるのだろうか。
語釈
- その【園・苑】:庭園。
- ひさかたの【久方の】:[枕詞]光、天、月、日、雨、雲など天に関係する語や、都にかかる。
『万葉集』第5巻 822番歌の万葉歌碑
我が苑に梅の花散るひさかたの天より雪の流れ来るかも
この歌が刻まれた万葉歌碑は、福岡県飯塚市の遠賀川河川敷中之島にかかる「芳雄橋」の中央にあります。橋の中央に中之島へと下りる階段があり、下流側が旅人口です。遠賀川の真ん中から眺める景色もなかなか面白いので、ぜひ足を運んでみてください♪
『万葉集』第5巻 822番歌の万葉歌碑
芳雄橋をはさんで反対側、遠賀川の上流側には憶良口があり、山上憶良の万葉歌碑があります。『万葉集』第5巻の803番歌、「しろかねの」から始まる「子を思ふ歌」の1首です。こちらは完全に草に埋もれていて、探し出すのに30分ほどかかりました(汗)。とても素晴らしい名歌ですので、草に埋もれさせないようぜひ訪問してください!